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医学系

コース概要

 重粒子線は光子線(X線やガンマ線)に比べて生物学的な線量分布に優れるという特長を有し、臨床医学においては主に悪性腫瘍に対する治療として用いられる。重粒子線臨床医学は、生物学、物理学、化学、放射線管理学などの放射線基礎医学に加えて腫瘍病理学、臨床腫瘍学、画像診断学などを包含しており、放射線腫瘍学を構成する新たな学問分野である。この重粒子線臨床医学では、がん治療における重粒子線治療の役割を学ぶとともに、手術療法、薬物療法、光子線治療などとの併用を踏まえた集学的がん治療の展開について理解することを目的とする。

 また、従来から求められている独創的な研究を遂行する能力とともに、幅広い知識をもとに本質を見抜く能力、領域横断的な臨床治療研究を行う能力、確固たる科学的道徳的価値観に基づき、協調しながら国際舞台で活躍する能力を備えたリーダーが育成される。さらに、国際的なプログラムを通して、グローバルに医療・社会に貢献する志を持つ重粒子線治療領域のリーダーの育成を目的とする。

内容

course01講義はオムニバス方式で行われ、以下の項目について理解を深める。
 ・腫瘍・正常組織における生物効果のメカニズム
 ・重粒子線医用工学の臨床応用について
 ・臓器、病理組織型、癌遺伝子の発現等に基づく
  腫瘍の自然史に応じた適切な治療法選択
 ・高精度重粒子線治療を行うために
  必要とされる実践的理論
 ・国内外の重粒子線治療の変遷と臨床試験の推移

 演習では臨床論文を精読して、Evidence-based medicineを理解するとともに、実験データの解析法と学術論文のまとめ方を習得するために必要な技術演習を行う。また、診療を通して、臨床症例におけるデータ解析を構築するためのがんの画像診断、放射線治療計画、照射効果の観察法なども修得させる。さらに、高精度重粒子線治療について実際の症例を担当し、臨床で使用されている最先端の治療計画装置と模擬患者を用いた治療計画の立案法を習得する。

 実習では重粒子線治療のみならず、手術療法、化学療法、光子線治療などの他のがん治療法との連携に関して実際の患者の診療を通じて行われる。化学放射線療法、術前・術後照射、ブースト照射などについて、さまざまな癌腫における適応とその役割について理解する。また、実際のがん診療に関わる専門医師、看護師、薬剤師、放射線技師、医学物理士などの合同医療チームに参加し、がんの集学的治療プロセスについてチーム医療の実際を経験させ、将来の集学的治療参加へ向けた実践的な実習を行う。また、学内で行われるキャンサー・ボードへの参加も学習の一環として積極的に行う。