本学ではX線はもとより重粒子線(炭素線)を用いた放射線治療を行なっている。本コースでは重粒子線治療を行うために必要な知識となる、加速器・照射系、患者位置決め、生物効果・臨床線量、治療計画など様々な知識を習得する。さらに、重粒子線およびX線治療の高度化研究、信頼性向上研究等を通して放射線治療の信頼性確保に不可欠な医学物理分野の研究者の育成を目指している。
また、従来から求められている独創的な研究を遂行する能力とともに、幅広い知識をもとに本質を見抜く能力、領域横断的な研究を行う能力、確固たる科学的道徳的価値観に基づき、協調しながら国際舞台で活躍する能力を備えたリーダーが育成される。さらに、国際的なプログラムを通して、グローバルに医療・社会に貢献する志を持つ重粒子線治療領域のリーダーの育成を目的とする。
関連分野の最新の文献について抄読を行うとともに、研究の立案を行う。実験を進めながら実験方法と実験データの分析方法を指導し、学術論文にまとめあげる方法を指導し学術論文を完成させる。論文テーマは重粒子線治療の高度化に関する研究とし、
・加速器・照射系の照射システム
・患者位置決めシステム
・治療計画システム
・生物効果・臨床線量
に関する研究を行う。
基礎講義において重粒子線治療の照射法・位置決め法や生物効果を考慮に入れた治療計画システム・拡大Braggピークの設計に対する知識を習得する。さらに、放射線実習では多チャンネルの電離箱を用いて効率的な測定方法を学び、治療計画で計算された線量分布との比較を行い、実際の治療における一連の流れを修得する。
また、重粒子線治療では線量のみで臨床効果を説明することができず、線質(LETなど)が大きく生物効果に関わる。そのため、線質を測定するために用いる検出器の構造を理解し、実際の線質測定を行い、線質に対する知識を深めて臨床線量へ応用する。